寡黙な御曹司は密かに溺愛している

「それにしても本当に久しぶりだな、御影」

「ああ、会えて嬉しい」


おじいさん同士は楽しそうに話をするけれど、私と課長は会話なし。
いたたまれない私は、運ばれてくる料理を
じっと凝視するだけ。


「そういえは、春香さんは海老がお好きだとお聞きしたのですが、今日の料理はお気に召していただけたかな？」


あまりにも私が料理ばかり見ていたからだらうか、ふと目が合ってしまった会長にそう聞かれてしまった。


でも、よく見ればテーブルの上に並べられた料理はどれも海老を使っている料理ばかり。中には伊勢海老の姿造りまである。


「あっ、本当ですね。海老ばかり。とても嬉しいです」


語彙力がない自分に泣けてくる。
そんな私に会長はニコニコと返事を返してくれた。