王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
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城下町の店に戻って来て数日。エマは今までと同じように、売り子として店に立っていた。
「エマが戻って来て嬉しいわ」
迎えてくれる住民たちは優しい。
だけど、エマは毎日あの日々を思い出している。来るはずもないのに、ギルが扉を開けてお茶を飲みたいと言ってくるんじゃないかと期待してしまう。
そんなある日、閉店間際にやって来たのはセオドアだった。
「セオドア様!」
「やあ、エマ、久しぶり。色々大変だったな。来るのが遅くなってすまなかった」
「いえ……。てっきり、もう二度と来てくださらないのかと思っていました」
「どうしてだい?」
「……私、あそこを追い出されたようなものですし。きっと何かまずいことをしてしまったんですわ」
「そうかな。騎士団員はみんな残念がっているよ。喜んでるのは医師と一部の貴族だけだ」
「そうですか」
ギルもですか? とは聞けない。
エマは自分で彼を遠ざけたのだ。今更、そんな期待をするのは間違っている。
「そうだ。セオドア様に聞きたいことがあるんです。……その。王太子様の様子に、おかしな所はありませんか?」
「……どうしてわかるんだ? エマ」
「え?」