王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~


「仮にそうだとしても、もう遅いだろ。俺はもう、エマをその立場まで引き上げてしまったんだ。巻き込んだからには守り切る。なあ、リアン。シャーリーン殿が気に入らないなら、お前も俺につかないか」


だとすれば味方を増やすのみ、だ。
リアンが見せる隙は、エマによって引き出されたもの。その隙をついて、側近の心を掴むのはギルバートの役割だ。


「そうですね。ここ数日の張り合いの無い王子に比べたら、今のほうが俺も好きですし。あなたはどうせ他のご令嬢を前にしてもちっとも乗り気にならないんでしょうしね。これ以上国王様を長く悩ませているより、もしかしたらいいかも知れません」

「決まりだ。父上を説得するために、本腰を入れようじゃないか」


またひとり、味方が出来た。今までギルバートひとりではうまく回らなかった人間関係が、エマの存在で動いていく。
それを実感するたび、ギルバートはゾクゾクするような恍惚感に包まれる。
エマが妃にふさわしいと考えるのは、こんな瞬間が、彼女と出会ってから何度もあるからというのもある。


「絶対に、父上にも納得させてやる」


自然に、彼の口元には笑みが寄っていた。


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