王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~


「バームが気になるなら、ここじゃなくて続き間に寝かせようか」

「駄目よ。他の人に見つかったら困るもの」

「だったら起こさないように。こっちにおいで」


ソファは背もたれがあるので、ベッドまで来てしまえばバームの姿は見えない。

ギルバートはエマの頭から髪飾りを外し、ひとつひとつをベッドサイドのテーブルに置いていく。そして解けた髪を一筋つかむと、愛おしそうに唇を寄せる。

そのしぐさに、目線に、エマの心臓はいちいち反応してしまう。
いつものギルバートより艶っぽく、余裕のない口づけが彼の情熱を伝えてくる。


「ギル、私、お化粧……」


落としていない、と続けたかったけれど、ドレス腰のリボンを緩められたところで、言い返す気持ちは無くなっていた。
エマだって待っていたのだ。
好きな人に触れたい、触れられたい。それはきっと、身分など関係なく、すべての人間が持ちうる感情なんなのだろう。


「全部後で」

「……うん」

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