王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
*
「すまないが、少し奥のソファを貸してもらえないだろうか」
突然の申し出に、エマは二の句を告げなかった。
真っ赤な顔をしたセオドアが大きな体で扉を塞いで、拝むように手を合わせている。
薬を売るために与えられた部屋は大きく、ソファを使われても支障がないと言えばない。
「女性とふたりきりで話して、人の噂になっては申し訳ない。ここならばエマも常にいるし、誰かが来ても薬の処方だと思うだろうし……」
顔を赤らめたまままくし立てるセオドアの後ろには、思わずため息を漏らすほど美しい令嬢がいた。
「構いませんけど、……何のお話ですか?」
「ちょっとした悩み相談だ」
「はあ」
女性はエマににこりと笑みを見せると、中へしずしず入っていく。
(まあ、……いいか)
ちょうど客が切れているタイミングだったので、エマ以外には誰もいなかったところだ。ふたりがソファに座ったのを確認してから、エマは出来るだけ離れた場所に椅子を置き陣取る。
「エマは信用できる娘です。さあ、お話ください、ヴァレリア様」
「えっと、どうお話すればいいのかしら。……私、さっきはどうかしていたのかも知れないわ」
令嬢はついては来たものの戸惑っているようだ。緊張からなのか顔がこわばり、着いてきたことを後悔している様子さえある。
エマは思い立ってお茶を入れることにした。
「すまないが、少し奥のソファを貸してもらえないだろうか」
突然の申し出に、エマは二の句を告げなかった。
真っ赤な顔をしたセオドアが大きな体で扉を塞いで、拝むように手を合わせている。
薬を売るために与えられた部屋は大きく、ソファを使われても支障がないと言えばない。
「女性とふたりきりで話して、人の噂になっては申し訳ない。ここならばエマも常にいるし、誰かが来ても薬の処方だと思うだろうし……」
顔を赤らめたまままくし立てるセオドアの後ろには、思わずため息を漏らすほど美しい令嬢がいた。
「構いませんけど、……何のお話ですか?」
「ちょっとした悩み相談だ」
「はあ」
女性はエマににこりと笑みを見せると、中へしずしず入っていく。
(まあ、……いいか)
ちょうど客が切れているタイミングだったので、エマ以外には誰もいなかったところだ。ふたりがソファに座ったのを確認してから、エマは出来るだけ離れた場所に椅子を置き陣取る。
「エマは信用できる娘です。さあ、お話ください、ヴァレリア様」
「えっと、どうお話すればいいのかしら。……私、さっきはどうかしていたのかも知れないわ」
令嬢はついては来たものの戸惑っているようだ。緊張からなのか顔がこわばり、着いてきたことを後悔している様子さえある。
エマは思い立ってお茶を入れることにした。