20代最後の夜は、あなたと
「テキトーに座ってろよ」


「手伝えることあれば、やるよ」


「いいって、任せとけ」


「はい」


キッチンをのぞくと、エプロンをつけて手際よく料理していた。


合間に食器をササッと洗ったり、お皿やグラスを冷やしたり。


「お待たせ」


テーブルに運ばれたのは、生春巻とチャプチェとチキンの香草焼き。


そして、キンキンに冷えたグラスに注がれたビール。


「・・・すご、すごすぎる」


「学生の時、多国籍料理の店でバイトしてたからな。


早く食べろよ、冷めたらウマさ半減するぞ」


「いただきます・・・ん、なにこれ、おいしい!」


伊勢くんは、満足そうに笑っていた。


「すごいね、毎日自炊してんの?」


「毎日ってことはないけど、だいたいはな」


「すごい、尊敬するよ」


「新しいメニューがウマイと、めっちゃ嬉しくてさ」


「伊勢くんの彼女は、幸せだね」


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