20代最後の夜は、あなたと
「・・・ってことが、あったわけ」


私は土曜日をボーッと過ごし、これじゃダメだと奈緒に連絡して、日曜日にランチすることにした。


で、最近の出来事をこと細かく報告した。


腕組みしながら私の話を聞いていた奈緒は、


「で、課長に問い詰めたわけ?


そもそも、紗和は課長に興味なかったんじゃなかったっけ?


結局、伊勢くんにのりかえるわけ?


まー私は、伊勢くんを選ぶのが堅実だと思うけどね」


矢継ぎ早にまくしたてた。


「ごもっともです」


「確かに、課長はイケメンだし、仕事もできる。


紗和がなびくのも仕方ない。


けど、結局はゲス男だったってことでしょ。


課長や伊勢くんから連絡あった?」


「うん、課長は私に見られたこと気づいてなくて、月曜から水曜まで出張で大阪と福岡へ行くって。


伊勢くんは、大丈夫か?って心配してた」


「もうさ、課長からの連絡は拒否っちゃいなよ。


何を言われたって、言い訳にしかならないんだからさ」


奈緒の言う通りだ、って頭ではわかってるんだけど。


課長の本当の気持ちが知りたい。


あんなに『俺はチャラくないし、二股もしない』って言ってたのに。


誘い文句だったってこと?


胸の奥がギュッと締めつけられるみたいに、苦しかった。


< 110 / 197 >

この作品をシェア

pagetop