20代最後の夜は、あなたと
それからしばらくは、平穏な日々が続いた。


霧島課長は何も言ってこなかったし、伊勢くんとは仕事の話しかしなかった。


自宅と会社の往復を繰り返し、たまに奈緒と飲みに行く。


このままでいいんだ、と自分を納得させる気持ちと、このまま年齢を重ねていって、その先に未来はあるわけ?と不安な気持ちとが混在していて、どうしようもなかった。



9月になり、毎年10月末に行く社員旅行のお知らせが社内メールで届いた。


海外へ行った時もあったけど、ここ数年は国内の観光地が多かった。


今年の幹事は伊勢くんと後輩の女子社員で、大分の湯布院温泉だった。


基本日中は自由行動だから、ゴルフやるチームや観光するチームに別れるはず。


チーム編成を見たら、課長はゴルフ三昧だった。


私は、特にしたいこともないし、何もしないでボーッとするのもいいかな、と思っていた。


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