20代最後の夜は、あなたと
「宮本、ちょっと」


霧島課長に呼ばれて会議室に行くと、


「社員旅行だけどさ、着いた日の夜に俺の部屋来いよ」


あまりにも突然のセリフに、戸惑った。


「仮にも今は勤務時間ですので、そのような発言はされるべきではないかと思いますが」


「紗和、俺が何度も連絡してるのに、拒否ってるだろ」


「はい」


「俺に言い訳させてくれよ。


誤解なんだ」


「そんなこともう、どうでもいいです」


「俺は、どうでもよくねーから」


「伊勢くんが、私のこと好きだって言ってくれました。


課長がいなくても、平気ですから」


「紗和、伊勢が一緒に幹事やってる子から告白されたの、知らねーの?


伊勢も男だし、なびかないおまえより若い子選ぶんじゃね?」


知らなかった。


知る必要もなかったから。


「とにかく、私はもう一人で構いませんから、ほっといてください。


失礼します」


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