20代最後の夜は、あなたと
なんなのよ、まったく。


言い訳するなら、わざわざ旅行先ですることないじゃん。


でも、課長の予定表を見たら、出張や会議やセミナー出席が多くて、たぶん時間がとれないんだと思った。


伊勢くんが最近飲みに誘わないのも、そういうことかと納得した。


課長も伊勢くんも、普通の男にすぎないってことだ。


モテ期かも、って勘違いしてた自分が、バカみたい。


奈緒を飲みに誘い、不満をぶちまけたら、


「なんだかんだ言って、紗和も男を必要としてるってことじゃん。


よしよし、私が合コンセッティングするから、待ってなさい」


奈緒は自信満々な顔でうなずいた。


「師匠、よろしくお願いします」


「でもさ、伊勢くんは断ったって聞いたけど?」


「へっ?」


「好きな子がいるからって断られた、って伊勢くんに告白した子が私の後輩に泣きついたって聞いた。


伊勢くんの好きな子って、紗和じゃないの?


伊勢くんが忙しいのも、幹事だからかもよ」


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