20代最後の夜は、あなたと
翌朝、朝食会場へ同部屋の先輩と一緒に向かっていると、ゴルフウエアに身を包んだ集団が歩いてきた。


その中に、霧島課長もいた。


青いポロシャツにカーキのパンツ。


一瞬目が合ったけれど、すぐにそらされた。


そりゃそうだ、昨日の今日だし。


伊勢くんの姿を探すと、グレーのカーディガンにピンクがきいてるチェックのシャツ、ジーンズで後輩と一緒に食べていた。


席についてから改めて伊勢くんを見ると、視線が重なった。


どちらからともなく、笑みがこぼれた。


「なにニヤニヤしてんの?」


「いえいえ、こういう顔なので」


先輩がいたの、忘れてた。


「紗和ちゃんは、別府まで行くんだっけ?」


「はい、そうです」


「うちらはホテルのエステやって、昼から飲んだくれることにしたんだ。


紗和ちゃんも、気が向いたら合流しなね」


「はい、ありがとうございます」


< 135 / 197 >

この作品をシェア

pagetop