20代最後の夜は、あなたと
社員旅行明け最初の、金曜日。


お昼休みに伊勢くんから、


『今日の夜、うちでメシ食わない?』


ってメッセージがきた。


『行く行く!』


と、速攻で返事をしたものの。


(もしかして、もしかしちゃう?)


と、創造力がたくましくなり、思わず下着を確認してしまった。


良かった、たまたまカワイイのだ。


会社の最寄り駅で合流して、しゃべりながら電車で移動して、伊勢くんちの最寄り駅で降りて、駅前のスーパーで買い物した。


伊勢くんは本当に料理上手で、こっちが恥ずかしくなる。


「お待たせ」


私がテーブルを拭いたりお皿を並べたりしてる間に、エビチリと、ペンネが入ったサラダができあがった。


「うわー、おいしそう」


「なんか、気分で作ったから、組み合わせ的にはどうかと思うけど」


「そんなことないよ」


なんか、引け目感じるなあ。


なんにもできない自分が、一歩も進めない自分が、情けなくなった。


「おいしかったー、ごちそうさまでした」


後片づけをすませ、ソファーに並んで座った。


「良かった、宮本が完食してくれてさ」


「だって、おいしいもん」


「そうじゃねーだろ、ここんとこボンヤリしてたし」


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