20代最後の夜は、あなたと
その後も、伊勢くんとは順調なつきあいが続いた。
月曜から金曜まではほぼ一緒に仕事をして、金曜から土曜日は伊勢くんちか私のうちに泊まった。
11月も下旬になると、なんとなく年末の慌ただしさを嫌でも感じる。
新年早々、新商品の発売予定を控えているので、その準備でどこも忙しい。
霧島課長と伊勢くんは毎日のように残業してて、私もたまに手伝ったりしていた。
ある日のお昼休み、ランチから戻ったら、
「宮本センパーイ、ちょっといいですかぁ?」
川島奈々(かわしまなな)が、甘ったるい声で話しかけてきた。
川島さんは同じ営業部だけど、彼女はデザイナー補助だから、私とはあまり接点はなかった。
社員旅行の幹事を伊勢くんと一緒にやってて、伊勢くんに告白してフラれたって子だ。
「いいよ、なにかな?」
何を言われるかは、なんとなく想像できたけど。
「宮本センパイってー、伊勢さんとつきあってるって、本当ですかぁ?」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「私見たんですよねー、伊勢さんと宮本センパイが手をつないで歩いてるの」
私は肯定も否定もせず、黙っていた。
その時突然、川島さんは私を平手打ちした。
バッチーン!って、異様な音が会社のフロアに響いた。
「陰で私のこと笑ってんでしょ!
なんとか言いなさいよ!」
月曜から金曜まではほぼ一緒に仕事をして、金曜から土曜日は伊勢くんちか私のうちに泊まった。
11月も下旬になると、なんとなく年末の慌ただしさを嫌でも感じる。
新年早々、新商品の発売予定を控えているので、その準備でどこも忙しい。
霧島課長と伊勢くんは毎日のように残業してて、私もたまに手伝ったりしていた。
ある日のお昼休み、ランチから戻ったら、
「宮本センパーイ、ちょっといいですかぁ?」
川島奈々(かわしまなな)が、甘ったるい声で話しかけてきた。
川島さんは同じ営業部だけど、彼女はデザイナー補助だから、私とはあまり接点はなかった。
社員旅行の幹事を伊勢くんと一緒にやってて、伊勢くんに告白してフラれたって子だ。
「いいよ、なにかな?」
何を言われるかは、なんとなく想像できたけど。
「宮本センパイってー、伊勢さんとつきあってるって、本当ですかぁ?」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「私見たんですよねー、伊勢さんと宮本センパイが手をつないで歩いてるの」
私は肯定も否定もせず、黙っていた。
その時突然、川島さんは私を平手打ちした。
バッチーン!って、異様な音が会社のフロアに響いた。
「陰で私のこと笑ってんでしょ!
なんとか言いなさいよ!」