20代最後の夜は、あなたと
フロアにいた社員たちの視線が痛かった。


何か言い返さなきゃ、と思ってはいるものの、なんて言ったらいいのかわからない。


「・・・笑ったりなんか、してない」


「ふーん、じゃあやっぱりつきあってるんだー」


その時、外出していた霧島課長と伊勢くんが戻ってきた。


異様な雰囲気に二人とも気づき、


「どうしたんだよ、なんかあったのか?」


課長が私たちに声をかけた。


「なんでもないでーす、ね、宮本センパイ?」


「は、はい」


伊勢くんが顔を曇らせて、


「宮本、どうしたんだよ?」


小声で私に聞いてきたけど、本当のことを今ここで言うわけにもいかず、


「大丈夫、なんでもないよ」


笑って席に座った。


これで、伊勢くんと私がつきあってるのはバレバレだ。


隠すつもりはなかったけど、でもなんとなく、オープンにするのはためらわれた。


川島さんの存在も気になってたけど、なによりも霧島課長の視線が痛かった。


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