20代最後の夜は、あなたと
翌日出社すると、川島さんだけじゃなくて、その取り巻きの態度が明らかに変わった。


内線まわしても無言で切られたり、私の置いた伝言メモを速攻丸めて捨てられたりした。


もちろん私の味方もいたから耐えられたけど、部署内の雰囲気はとても悪くなってしまった。


川島さんは、雰囲気が悪くなったのは私のせいだと思ってるし、いろいろやることで憂さ晴らしできてるんだろうけど。


私は逆らうことなく、落ち着くのを待つしかなかった。


12月になり、忙しさも重なって、ますますピリピリした雰囲気になってきた。


そんなある日、私が会議室で新しく印刷したパンフレットの仕分けをしていたら、隣の会議室から声が聞こえた。


会社の会議室はパーテーションで仕切れるようになっていて、人数が多い時はパーテーションを開いて広げ、通常は二部屋に仕切られていた。


仕切られるといっても密閉されるわけではないから、隣の部屋で誰かが話している内容も聞こえてしまう。


「伊勢さん、遅いですよー」


「なんだよ相談って。


俺より、霧島課長に相談すればいいだろ」


「伊勢さんにも関係あることなんです」


イヤな予感がした。


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