20代最後の夜は、あなたと
息を殺して、作業の手を止めて、耳をすませた。


「私が宮本センパイに意地悪してるの、やめてほしいですか?」


「当たり前だろ」


「そんなに、宮本センパイのこと好きなんですね」


「つきあってるかどうかに関係なく、川島がやってることは間違ってるだろ」


「じゃあ、もうやめます」


「話はそれだけか?」


「まだあります」


「なんだよ」


「私にキスしてくれたら、あきらめます」


「話になんねーな」


「じゃあ、もっとヒドイことしてもいいんですか?」


「俺が宮本を守るし、川島が主導してんのバレバレなんだから、いい加減やめろよ」


「私にも、伊勢さんを好きでいる権利ありますよね?」


聞いているのがつらくなってきた。


もう出よう。


「勝手にしろよ・・・って、おい、何すんだよ!」


「私のキスと宮本センパイのキス、どっちがよかったですか?


宮本センパイ、そちらにいますよね?


盗み聞きするなんて、趣味悪いですよー」


最悪だ。


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