20代最後の夜は、あなたと
一週間後、社内メールでコンペの概要が発表された。


少し早く奈緒から教えてもらっていた私は、資料を集めたり他社の製品をチェックしたり、コソコソ頑張っていた。


「宮本、どんなの出す?」


伊勢くんが私に探りを入れてきた。


「うーん、まだ決めてない」


本当はもう、8割くらい決まってたけど。


「今日さ、リサーチしに行こうと思ってんだけど、宮本つきあってくんない?」


リサーチっていうのは、一般のお客さまのフリをして、競合他社のショールームを見に行くことだ。


男一人でショールームなんて行くわけないから、夫婦やカップルに見えるように付き合えってこと。


「うん、いいけど」


私も、カタログだけじゃわかりづらい細かいことを確認したかった。


「宮本、どこのショールーム行く気だ?」


いつから盗み聞きしてたのか、霧島課長が割りこんできた。


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