20代最後の夜は、あなたと
そのままズルズルと日数を重ね、伊勢くんときちんと話さないまま12月になった。


「ねえ、紗和はどっちとクリスマス過ごすわけ?」


「奈緒、私を見て楽しんでるでしょ」


「楽しみ半分、心配半分ってとこかな」


「心配してくれてどうも」


「何度も言ってるけど、伊勢くんと早く話しなよ。


これ以上こじれたら、川島に奪われるよ」


「まあ、そうなったらそれまでだし」


「今の状況、しんどくないわけ?」


「今の状況って?」


「だって、目の前に座ってて避けようがないし。


・・・って、言ってるそばから、ほらあそこ」


奈緒が指差した方角を見ると、男女2人ずつではあるけど、伊勢くんと川島さんがランチから会社へ戻るところだった。


「あれを見ても、妬かないわけ?」


「うーん、だって、ふたりっきりじゃないし」


「紗和は平和主義者だね。


私なら耐えられないけどな」


そういうもんかな。


伊勢くんをもっともっと好きなら、ヤキモチ妬きまくって苦しくなるってこと?


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