20代最後の夜は、あなたと
このままじゃいけないんだな、と思ったのは、霧島課長と二人で残業してた時だった。


好きで残業してたわけじゃない。


例によって課長から、


「宮本、これ50部刷って、ラミかけといて」


と頼まれたからだ。


めんどくさい、って思ったけど、そんなこと上司に言えるはずもなく。


会議室で黙々とラミネートかけていた。


「終わったか?」


会議室のドアが開くと同時に、課長が話しかけてきた。


「あと少しです」


「宮本、クリスマスどうすんの?」


「はい?」


ここは会社ですけど?


「やっぱ、伊勢とより戻してクリスマス過ごすわけ?」


「さあ・・・あれ以来まともに話してませんので、わかりません」


「前も言ったけどさ、俺、略奪とかあんま趣味じゃないんだよな。


伊勢と話せよ、俺は関係ないとしても、今のままじゃ仕事やりにくいだろ」


略奪が趣味なんて、普通思ってても言わないでしょ。


ただ、仕事で必要以上に気をつかっているのは事実だ。


善は急げ、だ。


金曜日だったし、その日の帰りに伊勢くんちへ寄ることにした。


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