20代最後の夜は、あなたと
「私も、伊勢くんが好き。


別れたくない。


離れたくないよ。


でも、川島さんも、伊勢くんのこと好きだから、私はあきらめ・・・」


伊勢くんは、キスで私の言葉の続きを止めた。


「俺は、紗和とずっと一緒にいるから。


川島にキスされたのは事実だけど、俺には迷惑でしかねーよ。


紗和は、霧島課長を部屋に入れたけど、何もなかったんだろ?」


抱きしめられたのは、たぶん「何もなかった」ことにはならないけど。


「うん、上司として心配して来てくれて、すぐ帰った」


「なら、おあいこだな」


胸がチクリと痛んだ。


何度もキスを重ねるうちに、


「もう我慢すんの、無理」


伊勢くんは、私をベッドに寝かせた。


「紗和、好きだ」


何度も聞こえる、伊勢くんの言葉。


目を閉じて、幸せをかみしめた。


仲直りした私たちは、そのまま伊勢くんの家で泊まって、土曜の朝を迎えた。


そして、2週間後に迫っていたクリスマスの話をした。


「24日と25日、連休だろ?


どっか、旅行するか」


今年のクリスマスイブは、土曜日なんだ。


「今からじゃ泊まるとこないんじゃない?」


「俺の友達で、旅行代理店に勤めてるヤツがいるんだ。


ちょっと聞いてみるな」


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