20代最後の夜は、あなたと
「・・・気のせいだよ、きっと」


「私を誰だと思ってんの?


恋愛においては百戦錬磨なの。


紗和も、課長が何かするたびにチラ見してたし」


「それは、たぶん、まためんどくさいこと押しつけられそうで気になってるだけだって」


「違うね」


「そんなはっきり断言しなくても」


「無意識でしてる行動ほど、本音が出てるのよ。


霧島課長も紗和も、お互いが気になってるのに言葉にしないから、めんどくさいことになってんじゃないの?」


「めんどくさいことって、なに?」


「紗和は、伊勢くんのプロポーズを受け入れられない。


課長は紗和を奪いたくて、タイミングをはかってる。


隙だらけの紗和と伊勢くんを見て、川島がちょっかい出してる。


以上」


「奈緒って時々、残酷だよね」


「残酷でけっこう、私は親友を心配してるだけ。


このままウヤムヤにしてたって、前に進めないじゃん。


来年こそ、紗和には幸せになってもらいたいから」


「わかったよ、ありがと」


奈緒が言うことは、もっともだと思う。


最終的には、私一人で結論を出さなきゃいけないってことも、わかってる。


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