20代最後の夜は、あなたと
年内最後の出勤日って普通、残業なんてしないと思う。


なのに、朝から挨拶まわりに行って夕方戻ってきた霧島課長は、


「宮本、ちょっと手伝え」


とハガキの束をドサッと渡してきた。


「これって、もしかして、年賀状です・・・よね?」


恐る恐る聞いた私に、


「そうだけど?」


課長は開き直ってラベルを私のデスクに置いた。


「どうしてもっと早く渡してくださらなかったんですか?」


「どうしてって言われても、やるヒマなかったんだから仕方ないだろ。


どれも企業宛だし、元旦に見るわけじゃないし。


優先順位としては低いからな」


・・・それもそうか。


いやいや、納得してる場合じゃないし。


今日は直帰の伊勢くんから『帰り、うちに寄って』ってメッセージきたばっかりなのに。


退社時間になり、蜘蛛の子を散らすようにみんなが帰っていく中、黙々とラベルを貼っていく私。


課長はというと、自分の仕事をしてるみたいで、難しい顔してパソコンに向かっていた。


『ごめん、課長に残業頼まれたから、少し遅くなるね』


伊勢くんにメッセージ送ったけど、怒ってるかもな。


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