20代最後の夜は、あなたと
課長は着替えると、


「悪いけど、もう少し寝かせてもらうな」


しんどいのか、すぐに目を閉じた。


私は、受け取ったYシャツや下着やタオルを洗濯して部屋干しして、リビングのソファーに座った。


テレビを小さい音で見ていたけど、頭に入ってこなかった。


伊勢くんとのこと。


課長とのこと。


来年の3月までに、きちんとした答えを出さなきゃいけない。




「紗和、起きろよ」


「え、は、はい、すみません!」


「そんなとこで寝ると、おまえが風邪ひくぞ」


「大丈夫です。


っていうか、課長こそ大丈夫なんですか?」


「ああ、熱も下がったしな」


「朝だから下がってるのかもしれませんし、油断しないで今日はおとなしくしてた方がいいですよ」


「わかったよ」


笑ってる課長の顔色は良かった。


「長居しちゃってすみません、帰りますね」


「いいよ別に、コーヒー飲んでけよ」


「私が先に起きなきゃいけないのに、すみません」


「謝んなきゃいけないのは、俺の方だよ。


洗濯までしてくれて、ありがとな」


「いえ、たいしたことしてませんから」


「年末は実家へ帰るのか?」


「はい、明日帰ります」


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