20代最後の夜は、あなたと
そして、霧島課長はどうだったかというと、今までと何も変わらず、私に冷たいまんまだった。


残業は押しつけるし、めんどうな仕事ばっかり割りふるし。


今日の送別会だって、私とは一言も話してないし。


課長は、女子社員に囲まれて何か話している。


課長が何か言うたびに、黄色い声が聞こえる。


あーそうですか、私にはあんな黄色い声は出せませんから。


課長は、私と話す時とは180度違うヘラヘラした顔してて、なんか感じ悪い。


その瞬間、課長と視線が重なった。


反射的に、視線をそらした。


課長のことを見ていたのがバレて、恥ずかしかったから。


あれ、これってもしかして、私はいまだに課長のことが気になってるってこと?


いや、違うし。


私は、ああいうチャラチャラした態度が好きじゃないだけだし。


だいたい、女子なら誰でもいいっていう姿勢が納得いかないし。


グラスに残ってたビールを飲み干し、課長に背中を向けた。


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