20代最後の夜は、あなたと
「奈緒、大丈夫?」


私の問いかけにうなずくと、奈緒はまっすぐ霧島課長のところへ向かった。


「最低!」


奈緒は課長をビンタした。


「・・・いってーな」


「紗和ごめん、あとで話すから!」


バタン、とドアが閉まって、奈緒は帰ってしまった。


どうすればいいんだ、私は。


シーンと、重苦しい空気が漂っている。


「奈緒に、何したんですか?」


「別に」


「別にって、何もしてないのに奈緒が怒るわけないじゃないですか」


「おまえには関係ないだろ、本人から聞けよ」


霧島課長はパソコンを閉じると、


「じゃあ、戸締まりしろよ」


私一人を残し、帰っていった。


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