20代最後の夜は、あなたと
「元気だしなよ紗和、あんなヤツの言うことなんか気にすることないって」


「うん、でもさ、言ってることは当たってんだよね」


奈緒がランチに誘ってくれて、二人でパスタを食べていた。


「どうせまた、ひっどい言い方したんでしょ?」


「確かに、あの場が凍りつくような感じだったよ」


「所詮子どもなのよ、たち悪い」


ランチが終わってデスクに戻ったら、伊勢くんがメモをこっそり渡してきた。


『さっき言われたことは気にすんな』


伊勢くんに『ありがと』とメッセージを送った。



今日はさすがに定時であがり、スーパーに寄ってからアパートへ帰った。


一人暮らしも、もう11年目突入だな。


私の実家は仙台で、大学進学をきっかけに上京した。


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