20代最後の夜は、あなたと
出張に同行するなんて
霧島課長の、私に対する厳しい言葉は変わることなく。


ストレスがたまるたびに、奈緒や伊勢くんと飲みに行った。


ゴールデンウィークも実家へ帰ったくらいで何もなく、6月になった。


「宮本、ちょっと」


「はい」


霧島課長に連れてこられたのは、会議室だった。


バタン、とドアが閉まって、密室に二人きりになる。


私もフロアのみんなも、何を怒られるんだってビクビクしてる。


「宮本、来週の金曜は何か予定があるか?」


「ありませんが」


「仙台にある工場に出張することになったから、おまえも同行な」


「え・・・」


「なんだ、不満か?」


「いえ、私ではなく、他の人でもいいのではないかと思いまして」


「だって、おまえ仙台出身だろ?」


いつのまに個人情報を調べたんだ。


「ちょうどいい、日帰りだし、決まりな」


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