20代最後の夜は、あなたと
会話が続かない。


課長と私の間に、重苦しい空気が漂ってるみたい。


どうしよう。


頭の中で必死に話題を考えていたら、


「これ、どう思う?」


キッチンのイメージパースを渡された。


「えっと・・・開放的でいいと思います。


このタイルも、レトロな感じがかわいいです」


「そっか」


言いながら、霧島課長の頬が少しゆるんだ。


「俺のデザインなんだ」


ご満悦な感じで、霧島課長がニヤッと笑った。


「そうなんですか、好きです」


そこまで言って、なんか告白してるみたいだと思って、あわてて、


「このデザイン」


と、つけ加えた。


機嫌が良くなったのか、これから見学する工場の話とか、千葉支店にいた時のこととかを話してくれた。


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