20代最後の夜は、あなたと
トイレに行った私が課長の元へ戻ると、何やら難しそうな顔をしていた。


「お待たせしてすみません、お手洗いが長蛇の列で」


「宮本、今日は帰れないかもしれない」


「はい?」


「大雨で土砂崩れがあって、東北新幹線が止まってる」


「えっ?」


確かに、気づかなかったけど、トイレだけじゃなくて駅構内が混雑してる。


「じゃあ、ホテル探しますか?」


「それが、今日はアイドルのコンサートがあるらしくて、どこも満室らしい」


「えっ・・・」


「宮本、おまえは地元なんだし、実家か友達のとこにでも泊まれ。


俺は男だし、どうにでもなるから」


「そんな、それじゃあ課長が大変じゃないですか」


どうしよう。


なんか、いい考えが浮かばないかな。


「とりあえず、実家に電話してみます」


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