20代最後の夜は、あなたと
「へー、そんなにあるんだ、横幅あるからちっこく見えるのかもな」


「なっ・・・」


な、なんなのコイツ?


何様のつもり?


あらためてソイツを見上げると、見上げなきゃいけないほど背が高く、細いフレームのメガネの奥の目は切れ長で涼しげで、いわゆる世間でいうところのイケメンの部類だ。


そうかそうか、自分に自信があって自意識過剰になった典型なんだ。


私には縁のない人種だ、これ以上関わらない方がいい。


私は一人で納得し、


「失礼します」


と不本意ながらも一礼して、その場を去った。


「なんだよ、アイツ」


ソイツがそうつぶやいたのも聞こえず、私は駅に向かって小走りに逃げた。


あーもう、イライラする!


アイツにもだけど、それよりも言いたいことが言えない私にムカついた。


< 5 / 197 >

この作品をシェア

pagetop