20代最後の夜は、あなたと
「ああ、なんとなく?


タイプじゃない、って断るのも何だし」


「奈緒を断るなんて、相当ですよ」


「まあ、美人だけど、俺のタイプじゃねーんだから、しょうがないじゃん」


「わかりました、もういいです」


沈黙が続き、惰性でついているテレビがどこかの国のニュースを伝えていた。


「ベッドの準備、してきますね」


弟の部屋を確認して、簡単にベッドメイクをした。


弟は東京の大学にいて、長期休みの時だけ実家へちょこっと顔を出す。


ゴールデンウィークにこの部屋に泊まったから、そんなに汚れてはいないはず。


一晩だけだし、課長には我慢してもらおう。


リビングに戻ると、課長はひじをついてウトウトしていた。


長い睫毛、ちょっとだけ開いた唇。


「キレイな顔だなあ・・・」


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