20代最後の夜は、あなたと
部長が新しい課長が来ると告げた日に、ムカつく男とぶつかったことも忘れた頃。


月曜の朝礼で、部長が知らない男性と一緒にあらわれた。


「おはようございます。


ご紹介します、千葉支店から異動になった、霧島課長です」


「霧島玲(きりしまれい)です、よろしくお願いいたします」


「よろしくお願いします」


みんなが拍手で迎える中、私は一人驚いて、拍手もせずにポカーンと口を開けていた。


霧島課長は、先週ぶつかったムカつく男だったから。


思わず、下を向く私。


どうかどうか、私のことを覚えていませんように・・・


部長が、いつもと同じようなことを話しているのをいいことに、ずっとうつむいていた。


「えーっと、宮本、ちょっと」


「は、はいっ!」


突然呼ばれた私は、声が上ずってしまう。


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