20代最後の夜は、あなたと
「コンペの発表・・・?


あっ、忘れてた!」


「余裕だな」


「目をそむけてるだけだよ」


「まあ、もうどうにもならないからな」


社内コンペは4月下旬で、もう6月だからそろそろ結果が発表されてもいい頃だけど。


そう思ってたら、その日の夕方に社内メールで発表された。


入賞すると新製品に反映されたりするけど、該当なしだった。


だけど、佳作として、伊勢くんと私の名前があった。


「伊勢くん、見た?」


「見た」


「すごいね、おめでとう!」


「おまえもだろ」


「祝杯あげなきゃだね」


どこのお店がいい?って聞きかけた時、霧島課長が割りこんできた。


「伊勢と宮本、コンペの件で説明するからちょっと来い」


「はい」


伊勢くんと顔を見合わせて、覚悟を決めた。


手放しで喜べないんだろうな、とお互いに思っていたはず。


< 60 / 197 >

この作品をシェア

pagetop