20代最後の夜は、あなたと
それからは、通常業務をこなしながら、伊勢くんとの打ち合わせを重ねた。


何度もやり直していくなかで、


「なんで、ここにこんな色もってくんだよ」


「なんでって、うちにも他社にもない色だから」


「おまえ、色にこだわりすぎなんだよ」


「伊勢くんだって、シンクまわりにお金かけすぎだし」


こんな風に言い合いすることばかりだった。


でも、伊勢くんは優しいから、基本私を自由に泳がせてくれた。


そんな私たちを霧島課長は時々飲みに誘ってくれ、3人で会議室で言い合ったりする機会も増えて、ある意味仲良くなった。


たった2週間だったけど、濃密な時間を過ごしたからか、チーム意識が芽生えたような気がした。


だから、伊勢くんと二人で考えたプランを霧島課長の前で発表する時は、少し声が震えてしまった。


「・・・どうでしょうか?」


恐る恐る聞いた伊勢くんと一緒に、緊張しながら返事を待った。


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