20代最後の夜は、あなたと
それから、伊勢くんは急にピッチが速くなり、あっという間に酔いつぶれてしまった。


テーブルに突っ伏して寝ている伊勢くんを、課長と二人でタクシーに乗せ、私たちも同乗した。


「伊勢くん、大丈夫でしょうか」


「心配してんのか」


「はい、同期ですから」


「じゃあ、おまえんちに連れてくか?」


「そ、そんな無理です、狭くて」


「ま、金曜だし、俺んちで転がしとくよ」


霧島課長の住んでるマンションは車寄せもあるホテルみたいなタワーマンションだった。


課長は伊勢くんをおんぶするのが精一杯で、結局私も3人分の荷物を持ち、カギを開けたりドアを支えたり、伊勢くんの靴を脱がせたりした。


伊勢くんが着てるスーツの上着を脱がせ、ネクタイを外した。


伊勢くんが寝てるのはたぶん、課長が普段寝ているベッドで。


思わぬ形で、私は霧島課長の自宅にオジャマしてしまった。


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