20代最後の夜は、あなたと
「はい、覚えてます」
見知らぬ人にあそこまで言われたの、初めてですから。
っていうか、今さらその話を持ち出す?
「あの時おまえ、マスクしてたじゃん?
だから最初はマスク美人かと思ったんだけどさ、出社して素顔を見たら、めっちゃかわいくて」
なに言ってんの、この人。
「俺の人生初の一目惚れ、成就させようと思ってさ、いろいろアプローチしてんのに、宮本ぜんぜん気づかねーんだもんな」
「どうして私が異動先の社員だとわかったんですか?」
「あー、だっておまえ、社名入った封筒持ってたから」
そんな細かいとこ気づくなんて、気持ち悪い。
「おまえ、俺が異動の挨拶してる時、ずっと挙動不審だったもんな」
ニヤニヤしてる霧島課長に言い返そうとしたら、寝室からガタガタ音がした。
見知らぬ人にあそこまで言われたの、初めてですから。
っていうか、今さらその話を持ち出す?
「あの時おまえ、マスクしてたじゃん?
だから最初はマスク美人かと思ったんだけどさ、出社して素顔を見たら、めっちゃかわいくて」
なに言ってんの、この人。
「俺の人生初の一目惚れ、成就させようと思ってさ、いろいろアプローチしてんのに、宮本ぜんぜん気づかねーんだもんな」
「どうして私が異動先の社員だとわかったんですか?」
「あー、だっておまえ、社名入った封筒持ってたから」
そんな細かいとこ気づくなんて、気持ち悪い。
「おまえ、俺が異動の挨拶してる時、ずっと挙動不審だったもんな」
ニヤニヤしてる霧島課長に言い返そうとしたら、寝室からガタガタ音がした。