20代最後の夜は、あなたと
ランチしながら奈緒にグチったのは、7月の月曜日。


奈緒みたいに夏休みの計画をたててソワソワしてる人もいるけど、私は何も予定はなく、ゴロゴロするつもりだった。


それなのに。


7月下旬、私は霧島課長に呼び出された。


もう、イヤな予感しかしないし。


「失礼します」


「座って」


「はい」


会議室のテーブルを挟んで向かい合う。


キスされて以来、まともに顔を見られなくなったけど、あらためてよく見ると、本当に非の打ち所のないキレイな顔で、少しみとれていた。


「俺の顔に、なんかついてんのか?」


「え、いえ、なんでもありません」


あーもう、調子狂っちゃうよ。


「まず1点目は、伊勢と作った製品アイデアの一部が、来年の新商品に採用されることになった」


「あ、ありがとうございます!


え、でも、伊勢くんには伝えないんですか?」


「伊勢には昨日伝えた」


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