20代最後の夜は、あなたと
「ごめんね、待たせちゃって」
伊勢くんは、不機嫌な顔で黙っていた。
「・・・どうかした?」
「おまえ、霧島課長とつきあってんの?」
な、急に何を言い出すんだ。
「ま、まさか、そんなわけないじゃん」
「でも、明日わざわざ車で迎えに来るんだろ?
悪い、聞こえちまって」
「あー、うん、ちょっと用事があって」
「休みなのに用事?」
「うん、まあ」
「ふーん」
なにそれ、なんで不機嫌を絵に描いたような顔するわけ?
「タオル、ありがとな」
「うん、今日は楽しかった。
誘ってくれてありがとう。
あっ、玄関の傘、持っていって」
「サンキュ」
玄関に歩いていく途中で、伊勢くんは立ち止まった。
そして、私に背中を向けたまま、
「俺が『明日、行くな』って言ったら、どうする?」
とても小さな声でささやいた。
「えっ、なんでそんなこと言うの?」
私の問いかけには答えず、
「悪い、今の忘れて。
じゃ、また会社でな」
伊勢くんはあわてて靴をはき、ドアを開けて飛び出すように出ていった。
伊勢くんは、不機嫌な顔で黙っていた。
「・・・どうかした?」
「おまえ、霧島課長とつきあってんの?」
な、急に何を言い出すんだ。
「ま、まさか、そんなわけないじゃん」
「でも、明日わざわざ車で迎えに来るんだろ?
悪い、聞こえちまって」
「あー、うん、ちょっと用事があって」
「休みなのに用事?」
「うん、まあ」
「ふーん」
なにそれ、なんで不機嫌を絵に描いたような顔するわけ?
「タオル、ありがとな」
「うん、今日は楽しかった。
誘ってくれてありがとう。
あっ、玄関の傘、持っていって」
「サンキュ」
玄関に歩いていく途中で、伊勢くんは立ち止まった。
そして、私に背中を向けたまま、
「俺が『明日、行くな』って言ったら、どうする?」
とても小さな声でささやいた。
「えっ、なんでそんなこと言うの?」
私の問いかけには答えず、
「悪い、今の忘れて。
じゃ、また会社でな」
伊勢くんはあわてて靴をはき、ドアを開けて飛び出すように出ていった。