20代最後の夜は、あなたと
「おまえ、伊勢のことどう思ってる?」


なんで突然、伊勢くんの話題?


いぶかしく思いながらも、答えた。


「同期ですし、私よりも商品知識が豊富で、尊敬してます」


「男としては?」


は?オトコ?


いったい何が知りたいの?


「いえ、同期ってこと以外考えてません」


「そっか、ならいいけど」


いいけど、って。


それで終わり?


「あと30分くらいで着くから」


ふと車窓の景色を見ると、うっそうとした森の中の細い道を走っていた。


もし対向車が来たら、すれ違えないような道になった時。


ウィンカーを出して左折し、少し広い場所に車を停めた。


車をおりると、奥に小さな看板があった。


「ここから20分くらい歩くぞ」


に、にじゅっぷん?


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