20代最後の夜は、あなたと
拒否することもできず、課長のあとについていった。


人がすれ違うのがやっとっていうほどの狭い遊歩道を、ひたすら歩いた。


遊歩道の両サイドは、2mくらいの草や木が生い茂っていた。


足元は整備されてるといっても、板を渡しただけだったり、ところどころ段差もあった。


課長は黙って、前へ前へ歩いていく。


私も黙ったまま、課長の背中を追いかける。


課長は時々振り返って、私の様子を気にしてるようだった。


「もうすぐだぞ」


課長の声が合図になったかのように、目の前が急にひらけた。


「うわぁ・・・」


背の高い木々がなくなり、急に360度の視界が出現した。


そして目の前には、静かな水面を漂わせた沼地が広がっていた。


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