20代最後の夜は、あなたと
霧島課長は、仕事はできるし背は高いしイケメンだし、何の不満もなかったけど。


なんていうか、ハンターに狙われた獲物の気分というか、課長に必死でついていく感じだった。


常に課長がリードしてくれるからかもしれないけど。


今も、手をつないで並んで歩くというよりは、半歩くらい課長が先を歩いている。


夕飯は東京へ戻ってからにしよう、とか。


それから俺んちで適当に飲み直すか、とか。


課長は、今日これからの予定を話しながら歩いてた。


あれ・・・このままだと私は、今夜課長に食べられるってこと?


獲物だけに?


「おい、聞いてんのか?」


「えっ、あっ、はい、聞いて・・・ませんでした」


「正直なのはいいけど、あまりにもストレートだな。


東京に戻ったら車置いて、俺んち近くで夕飯な」


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