35階から落ちてきた恋
「それで?」

「たぶん呆れて離れて行ったファンもいたと思う。でも、俺も譲れなかった。まぁ次のライブの時には俺の言い方が一方的で一種の脅しのようだったと謝罪はしたけどな。基本的な考え方は変えるつもりはない」

「報道されて騒ぎになったらもうLARGOのステージには立たないってことですか?」
「楽曲作りはやめないよ、でも裏方作業がメインになるだろうな」

「そんなことを考えていたんですね。・・・って、あれ?」

「おっ、やっと何かに気が付いたか?」

ちょっと、待って。
私を連れ歩いている理由って。

サーっと血の気が引いていき全身に鳥肌が立つ。

「進藤さん、私と噂になってマスコミを引き付けて、まさか表舞台から去ろうとしてるんですか?!」
思わず大声になってしまう。

「は?」

進藤さんが思い切り顔をしかめて、私にデコピンをくり出す。

「痛っ~!」
「ばかか、お前は」

進藤さん、ひどい。今のはマジなヤツだ。おでこがじんじんとする。




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