35階から落ちてきた恋
昼休みになり、私たちは例によってまたまた鈴庵のお座敷にいる。
テーブルには発売になったばかりの週刊誌。

週刊誌にはLARGOのタカトが決まった女性と繰り返しデートを楽しんでいること、相手は一般女性で同棲などはしていないことが書かれていて明らかな嘘の情報はなかった。

「今日はいろいろ聞かせてもらいますからね」ときらきらしたたくさんの瞳に囲まれている。

私の知らないところでスタッフのみんなに迷惑をかけ、守ってもらっていたと知った以上知らん顔ができるはずもない。

それでも、気になるのは美乃梨さんのようなタカトファンの心理状態。
現実の恋人関係にある人に対して嫌な気持ちにならないんだろうか。

「もしかして、私のことが気になってたりする？」
ストレートに美乃里さんが声を上げた。

「え、あの、まぁ。うん。・・・私だったら、ちょっと微妙かなとか」
ちょっと口ごもってしまう。

対する美乃梨さんははっきりしていた。

「私はLARGOのファンとしてタカトの幸せを応援するけど？それに今度のあの新曲。あれって果菜ちゃんと出会った時に作った曲なんでしょ？」

「新曲ですか、それはどうなんでしょうね。いつ作ったのかとかそこまでは聞いてないんです」
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