35階から落ちてきた恋
仕事が終わり迎えに来てくれたのは、何と進藤さんの事務所の山崎社長だった。
「水沢さん、お疲れ様。さあ乗って」
笑顔の山崎社長に促されてBMWの助手席に乗り込む。
「貴斗じゃなくてごめんね。私も水沢さんと話したかったし、今わざわざ二人のツーショット写真を提供する必要もないかと思って」
山崎社長の様子には怒っている様子も苛立っている様子もないものの私は何を言われるかと不安で仕方ない。
私と進藤さんが付き合うということに関してどう思っているんだろうか。
「水沢さん。ううん、果菜ちゃん。心配しないで。私あなた達のこと反対してるわけじゃないから。むしろ、大賛成」
エンジンをかけながら私を見てきれいな笑顔を見せる。
相変わらず年齢不詳の美人だ。
「貴斗には前から言ってたのよ。早く恋人を作りなさいって。そこからアーティストとしての深みや幅が広がると思っていたから。LARGOはミュージシャンとして売っていてアイドルじゃない。俳優たちとも違う。プライベートあってのミュージシャンだと思ってる。
ただね、あの3人はムダにイケメンだから話がややこしいのよ。これがイケメンじゃなかったらファンの反応も違ったのにって思うわ」