35階から落ちてきた恋
「だいたいだな、こんな時期に何で女と食事になんて行ったんだよ。ホントに浮気でもしようとしてたのか?」

進藤さんの不機嫌そうな声にヒロトさんはすぐに反応する。

「んなはずないだろうが。琴美以外に目移りするほど馬鹿じゃない」

「じゃあ、何で。
私だって社会人なんですからお付き合いっていうのがあるのはわかりますけど、普通他人から誤解されるようなことにならないようにいろいろ気をつけますよね。若い女性と二人きりにならないとか」


「・・・わかった。話すよ」
ヒロトさんははああっと息を吐いて両手を上げてホールドアップした。

「一緒にいた若い女っていうのがアクアキューブの社員なんだ」

「アクアキューブってジュエリーブランドのアクアキューブですか?」

「ああ。そのアクアキューブ」

アクアキューブは老舗のブランドじゃないけれど、今一番勢いがあるジュエリーブランドだ。
あまりジュエリーに興味がない私だって知っている。
確か、あの女優の秋野真紀さんがアクアキューブのイメージモデルだったはず。

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