35階から落ちてきた恋
「秋野真紀に頼んで紹介してもらったんだ」

「紹介してもらった?」

「そう。どうしても急いで手に入れたいものがあって。かなり無理を聞いてもらって手に入れたからそのお礼だったんだ。彼女がお礼ならあのレストランで食事がしたいって言うから」

「にしたって、それ奥さんに仕事って嘘つく必要がありました?やましいことがなかったら堂々と世話になった人と食事に行くって言えばよかったんじゃないですか?嘘つくからバレて琴美さんが傷つくことになったんじゃないですか」

「だからさ、アクアキューブの社員と会ってる事を知られたくなかったんだ。それがサプライズだったから」

「サプライズ?」

「そう、サプライズ。俺たちの子供と琴美への俺からのプレゼントを準備してたんだ。
果菜ちゃんはベビーリングって知ってる?」

「ええ、あの子供が生まれた時に誕生石を入れた指輪をプレゼントするっていうアレですよね」

「そう、それ。ちょっと特別なのを準備しようと思っていたんだけど、いきなり切迫流産になっちゃってさ。かなり早産になる可能性がでてきちゃってリングが間に合わないかもってことで焦ったんだよね」

「え?それでアクアキューブの社員さんを?」

「そうなんだ。かなり無理なお願いをしちゃったから。いわば接待?ってこと」

「じゃあヒロトさんはそんなサプライズを計画してることを琴美さんに知られたくなかったのに、そのレストランで琴美さんの元会社の人たちに二人でいるところを見られて報告されてしまったという事ですか・・・」


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