35階から落ちてきた恋
もう一度ヒロトさんを見ると、相変わらずのおねだり顔。
大きくため息をついて「わかりました」と返事をすると、ヒロトさんはバンザイをして
「やった、果菜ちゃんサイコーだ」と喜んでいる。
「そのかわり」と浮かれているヒロトさんを制するように大きな声を出した。
「何?」
「絶対に他の人に見せたり聞かせたりしないでください。琴美さんとヒロトさんにだけです。それだけは守ってください。あ、生まれてくるお子さんはオッケーですけど、事務所のスタッフさん含めて他の誰にも見せないとお約束いただけるのならご協力します」
「する、する。約束するから」
「絶対ですよ」
念入りに約束をして私は進藤さんと歌う映像を撮ったのだった。
ヒロトさんが撮影すると言ったけれど、私はそれを断固拒否した。
撮影なら固定カメラでいいし、編集は進藤さんがしてくれる。
「これ以上は無理だよ。果菜は恥ずかしがり屋なんだから。ヒロトも諦めろ」と進藤さんのフォローもあって、ヒロトさんも引いてくれた。
それを撮影したのが先月の話。
この不法侵入で無くなったのはその映像が入ったUSB。
撮影後すぐにヒロトさんにプレゼントとして渡してあったからこれはただのコピーデータとでもいうようなものなんだけど。
これを盗んでどうするつもりなのか。
・・・それはすぐに分かった。
大きくため息をついて「わかりました」と返事をすると、ヒロトさんはバンザイをして
「やった、果菜ちゃんサイコーだ」と喜んでいる。
「そのかわり」と浮かれているヒロトさんを制するように大きな声を出した。
「何?」
「絶対に他の人に見せたり聞かせたりしないでください。琴美さんとヒロトさんにだけです。それだけは守ってください。あ、生まれてくるお子さんはオッケーですけど、事務所のスタッフさん含めて他の誰にも見せないとお約束いただけるのならご協力します」
「する、する。約束するから」
「絶対ですよ」
念入りに約束をして私は進藤さんと歌う映像を撮ったのだった。
ヒロトさんが撮影すると言ったけれど、私はそれを断固拒否した。
撮影なら固定カメラでいいし、編集は進藤さんがしてくれる。
「これ以上は無理だよ。果菜は恥ずかしがり屋なんだから。ヒロトも諦めろ」と進藤さんのフォローもあって、ヒロトさんも引いてくれた。
それを撮影したのが先月の話。
この不法侵入で無くなったのはその映像が入ったUSB。
撮影後すぐにヒロトさんにプレゼントとして渡してあったからこれはただのコピーデータとでもいうようなものなんだけど。
これを盗んでどうするつもりなのか。
・・・それはすぐに分かった。