35階から落ちてきた恋
驚いて瞬きを忘れるほど目を見開いてしまう。

「清美さんから聞いたんですか?」

「いや、あの日社長に追い出されてからここに来たんだ。
よく果菜が一人で座ってた席で俺1人で飲んでて気が付いた。
今まで俺は果菜が何でも受け入れてくれていたことに甘えすぎていたんだな。悪かった。これからはもっと自己主張してくれ。俺がわかるように」

「進藤さんは私のことわかってくれていたじゃないですか」
私は困ってしまう。私こそ進藤さんに自分の価値観を押し付けようとしていたのだから。

「ごめんなさい。勝手にすねて一人でうじうじしていたのは私ですから」
私はまた頭を下げる。

「果菜」

「実は清美さんが進藤さんのいない間にイベントの動画を送ってくれたんですよ」
私は何か言おうとした進藤さんを遮る。

「あー、あれを見たのか」
照れくさそうに耳の後ろをガシガシと掻いて私から視線を外してしまう。
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