35階から落ちてきた恋
そこの関係者用入口に車を横付けするとすぐにスーツ姿の男性が一人駆け寄ってきた。

「すまん。木下」

「ああ、木田川、患者はどこだ?」

木田川と呼ばれた男性は私にも軽く頭を下げる。

「こっちだ。今楽屋で寝かせている」

私たちは肩から往診バッグをかけ駆け足で木田川さんが案内する楽屋に向かった。
廊下にはスタッフだろうか10人近くの人が心配そうに楽屋の中の様子をうかがっている。
白衣の私たちの姿を見てほっと息をつく人もいる。

私たちは木田川さんに続いて楽屋に入った。
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