35階から落ちてきた恋


・・・夢を見た。
ふわふわと雲間を漂い、温かくて大きなものに包まれて髪を撫でられる夢。
すごく気持ちがいい。


ん、んん。
うん?

うわあ。
目を覚ますと昨日のデジャヴかと思う光景。

またもや進藤さんの腕の中。
向かい合わせに抱き合うようにしてというか進藤さんに抱え込まれている。

「な、何で私またここに」

飛び起きようとする私をぐっと両手で押さえ込み「果菜、うるさい」と進藤さんはしかめっ面をした。

「またトイレに起きたついでに私を運んだんですか?」
涙目でもがく私に進藤さんは笑っている。

「果菜って寝起きがいいのか悪いのかわからないな。ベッドに横抱きにして運んだ時は寝ぼけて気持ちいいってしがみついてきたのに。今はこんなに暴れるし」

え、しがみついたの?
しかも「気持ちがいい」って。

驚きと恥ずかしさでフリーズする私。
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